プロ野球観戦に熱くなる人々
野球観戦、それは多くの人が楽しむ娯楽である。
野球は日本でも一二を争うほどの人気スポーツである。
プロ野球には100年近くの長い歴史があり、熱心なファンの多いスポーツである。
ただし、その熱心さは時として危険な方向に向かう。
球場では心無い野次が飛び、時としてファン同士の喧嘩が勃発。
ネット上ではTwitterや掲示板での暴言・批判の応酬。
選手や監督への容赦ないバッシング。過激な非難・批判をしたせいで、炎上してしまうユーザーもいる。
贔屓のチームへの愛情が時として裏返り、こうした暴挙に走るファンが発生する。
そうした過激な方向に進まなくとも、野球観戦とは中々に厄介な娯楽であることは以前述べた。
野球好きの厄介なポイント
・負けた日は悔しくて仕方ない
・他チームの選手や成績に嫉妬する
・敵チームの好プレーを純粋に楽しめない
・掲示板やTwitterで選手や監督の批判をする
野球好きなのに野球を見たくない、見ているとストレスが溜まる時もある。
私も贔屓チームが負けてストレスが溜まり、時には物に当たったり、ヤケ食いをしたこともあった。
だが、そもそも我々野球ファンは、何故こんなに苦しんでいるのだろうか?何でこんなに熱くなっているのだろうか?
贔屓チームの勝利は、あなたの人生と関係がない
極論ではあるが、あなたの人生が豊かになることと、野球チームが勝つことは関係がない。
あなたが贔屓チームの勝利のために何か努力したわけでもないし、したくても何もすることはできない。
せいぜい応援するか、勝利を祈るだけである。
また、あなたと贔屓チームはほぼ関係がない。
身内や友人に野球選手がいるなら話は別だが、ほとんどの人にとって、贔屓チームの勝利は赤の他人の出来事である。
要するに、あなたの思い込みで勝手に期待しているチームが勝ったり負けたりするだけである。
このことについて、松本人志さんも著書「松本」にて次のように述べている。
「オレが嫌いなのは野球ではなく、あの必要以上に熱狂するファンなのだ。
結局、ヤツらは学校や仕事先でがんばれてなかったり、勝ててなかったりするヤツらの集まりで、それをひいきチームに託し、そのチームががんばれば自分もがんばった気になるし、勝てば、まるで自分が勝ったような気になるのだ。
オレのように、毎日戦っている人間なら、人を応援する余裕なんてあるわけがない。」
引用:松本人志『松本』P.51-52 朝日新聞社
この言葉はかなりの暴論ではあるものの、我々に疑問を投げかけてくる。
我々は贔屓チームの応援にかまけて、自分の人生を疎かにしてはいないか?
プロ野球という娯楽は、我々の人生に有益に作用しているのか?
プロ野球という趣味は、あなたの人生を豊かにしているのか?
あなたはどれくらいの時間をプロ野球に費やしているだろうか?
全試合中継を観るなら143試合。それにオープン戦やCS、日本シリーズも含めるなら年間160試合前後になるだろう。
テレビやスマホで中継を見続けていなくても、試合速報のアプリで経過を追っているのなら、その時間も消費される。
さらにスポーツ新聞を読んだり、ネット記事、掲示板、Twitterなどで野球情報を集めているのなら、さらに時間を費やしていると言える。
仮に試合のある日、3時間は中継や記事・野球情報に触れるとするならば、160×3=480時間。 年間で20日分もの時間を野球観戦に費やしていることになる。
かと言って、「この時間をもっと有意義な時間に使うべきだ!」と主張したい訳ではない。
有意義なことばかりが人生ではないし、仕事や勉強の時間以外にも休息や趣味の時間は、人生を豊かにするために必要なものである。
あなたが野球観戦で幸せになれる時間はどのくらい?
だが、贔屓チームをもつファンにとって、この480時間は必ずしも幸せな時間になるとは限らない。
年間80勝して優勝するチームでも約60もの敗戦を喫する。さらに、リーグの半数のチームの勝率は5割以下である。
つまり大半の野球ファンは、この480時間の半分、240時間は贔屓チームの敗戦という不愉快な出来事と向き合わねばならない時間となる。
さらに、負けた日に心の傷を負ったり、イライラ解消のために暴飲暴食などを繰り返しているのならば、その悪影響は翌日以降にも引き継がれてしまう。
野球観戦というものは、本来は娯楽の一つに過ぎないはずである。せっかくの娯楽の時間が、半分(もしくはそれ以上)がイライラしたり、不快になる時間になっている。また、娯楽でのイライラを更に娯楽で解消しようとしている。
これははっきり言って大きな無駄であると言わざるを得ない。
野球以外の時間の使い道を探してみよう
無論、だからプロ野球ファンを辞めろ、ということではない。
ただし、その時間があれば、他にどんな事ができるか考えてみよう。
映画やドラマ、アニメや小説といった物語の方がリラックスできるかもしれない。
散歩や買い物に出かけたり、筋トレなど体を動かすと健康にも良い。
新しい趣味を初めて見るのも一興だ。
このように、野球の他にどんなことに時間を使えるか、一度考えて欲しい。
その上でなお、その時間が貴重だと思えばファンを続ければいい。
一回野球観戦や結果を見るのを辞めてみて、時間を置いてから戻ってくるのも良い選択だ。
プロ野球観戦は簡単な趣味ではない
野球を応援・観戦するだけなら楽だが、贔屓チームを持つことにはリスクが伴う。
贔屓チームが勝ってくれれば嬉しいが、逆に負けてしまうとどうしようもない。
次第に思い通りにならない展開に腹が立ってくる。連敗や特定の相手にやられ続けたりすることはとても悔しい。CSや日本シリーズでの惨敗・惜敗など筆舌に尽くしがたい。
このように、プロ野球で贔屓チームを持つということは、悔しさと向き合うメンタルコントロールが求められる。
時にはあえて視聴しない、野球の情報を避ける、など自分のメンタルを守る工夫が必要だ。
簡単すぎる娯楽というものは、あなたの身になりにくい
楽しさを得るためのコストが極端に低い娯楽というものは危険である。
パチンコ・競馬・ゲーム・ネット・酒・タバコ等々。エントリーコストの低い娯楽は、依存性があり、適度に楽しむ術を身に着けないと人生に悪影響を及ぼしかねない。
多くの楽しさは技術的・心理的な修練の先にあるものだ。読書・楽器演奏・映画鑑賞・スポーツ・料理・釣り等々、お金が無くても楽しめる趣味は、一定の修練を必要とする。
野球観戦をあなたの人生を豊かにするための趣味にするには、メンタルコントロールや、適度な付き合い方を発見するなどの工夫が必要なのだ。
野球観戦があなたのストレスや負担にならないために。少しでもあなたが心豊かに過ごせる時間を増やせるように。
ぜひ、あなたなりの野球との適度な付き合い方を身に着けて欲しい。
野球との適度な付き合い方についての過去記事も公開している。
良ければ以下も参考にしてみて欲しい。
こちらの本は新しい娯楽・日々をリラックスするヒントをみつけるの有用だ。
それでは!よき野球ライフを!
泉シロー 2022年8月17日