YouTube関連ブログ

由伸巨人の憂鬱  悪夢の13連敗と苦悩【ブログ増補版】

 

 原辰徳監督の後を受け、現役を引退し、監督に就任した高橋由伸監督。

しかし、就任前後から選手の不祥事が続出するなど、苦難の戦いが待っていた。

そして、2年目の2017年には、球団ワーストの13連敗という不名誉な記録をマークしてしまう。

今回は、そんな巨人13連敗の道のりと、由伸監督時代の巨人の苦戦の原因を追及していく。

 

本記事は、YouTube動画のブログ版です。動画では制作の都合上カットした部分も併せて記載しております。

本記事では動画内容のより詳しい内容をお楽しみいただけます。

動画をまだご覧になっていない方はコチラ↓からどうぞ。

 

高橋由伸監督の誕生

 読売ジャイアンツは原辰徳監督の下、2012年から2014年まで3連覇を果たすなどの好成績を残していた。しかし、2015年はヤクルトに敗れてリーグ4連覇を逃し、シーズン2位に終わる。

 そして、衝撃のニュースが球団に襲い掛かった。2015年10月6日、巨人所属選手の野球賭博行為が発覚。賭博に関わった4選手は契約解除となり、うち3選手は無期限の失格処分となった。この一件を受け、読売巨人軍オーナー、会長、最高顧問の3人が引責辞任するなど球団を大いに揺るがす事態となった。

 クライマックスシリーズ終了後、原監督は退任を表明。巨人は混迷の中、新たな監督を立て再スタートを切ることになった。

 次期監督候補として、江川卓、川相昌弘らの名前が上がったが、10月23日、球団は高橋由伸新監督の就任を発表。同時に現役の引退も発表された。

 さらに、同級生だった井端弘和も同時に現役を引退し、一軍コーチとして由伸監督を支えることになった。

 この2015年オフ、由伸監督を支えるべく、課題の貧打を改善するため、巨人は補強を敢行。西武からFAで脇谷亮太が復帰。さらにMLB通算122本塁打の左の大砲、ギャレット・ジョーンズ。さらに強打の二塁手として、ロッテからルイス・クルーズを獲得した。

 

2016年シーズン

煮え切らない1年目、2016シーズン

 こうして由伸監督の1年目が始まった。2016年シーズン。巨人は開幕4連勝を記録するなど、序盤は首位を走ったが、5月に7連敗を喫するなど波に乗れず。そうこうしているうちに広島が6月に11連勝するなど独走状態に入る。その後、8月には一時広島に4.5ゲームまで接近するも、8月7日の広島戦で7-6とリードしていた9回に澤村が菊池にサヨナラホームランを打たれて同一カード3連勝のチャンスを潰してしまい、以後は広島との差を広げられた。そして、9月10日の広島戦に敗れ、自身の目前で広島に胴上げを許してしまう。

 2016年シーズンの巨人は2位にはいったものの、優勝の広島とは17.5ゲーム差をつけられ、貯金はわずか2つ。クライマックスシリーズでも3位DeNAに敗退し、5年ぶりにファーストステージ敗退となる。こうして由伸監督の1年目は煮え切らない結果に終わった。

 野手陣は、この年坂本勇人が首位打者を獲得。村田修一は3割25HRをマークするが、その他の選手は微妙な成績に終わる。4番として期待されたギャレットは24HRをマークするが、主に下位打線での起用となった。

 投手陣では菅野が最優秀防御率・最多奪三振のタイトル獲得も、勝ち運に恵まれず9勝止まり。3年目左腕田口麗斗が台頭し、チーム唯一の二桁10勝をマーク。内海哲也も復調し9勝を記録。しかし、昨年活躍した高木勇人、大竹貫、アーロン・ポレダらは苦戦、前年13勝のマイルズ・マイコラスは右肩痛で4勝止まりとなり、先発不足に悩まされた。

 リリーフではスコット・マシソンが最優秀中継ぎ、澤村拓一が最優秀救援投手を獲得する。しかし、山口鉄也、西村健太郎らそれまでブルペンを支えた選手達に衰えが見え始め、全体的に成績は安定せず、リリーフ陣も駒不足の問題が見え始める。

2016年オフの30億円大補強

 こうした状況を打開するため、巨人は総額30億円をかけた大補強を敢行。ソフトバンクから森福允彦、DeNAから山口俊、日本ハムから陽岱鋼を獲得。FA選手を史上初めて1年で3人獲得した。さらに元楽天のケーシー・マギー、抑え候補の新外国人としてアルキメデス・カミネロを獲得した。

 ただ、全てが思い通りの補強となったわけではなく、オリックスをFA宣言した糸井嘉男の獲得を目指していた。しかし、糸井は阪神タイガースへの移籍を決断。代わりの外野手として陽岱鋼を獲得している。

 さらにこのオフに日本ハムと大型トレードを行い、大田泰示、公文克彦を放出、代わりに吉川光夫、石川慎吾を獲得した。

 しかし、これらの大補強も結果的には有効打とならず、由伸監督にはさらなる苦難が待ち受けていた。

 

13連敗と由伸監督の苦難

悪夢の13連敗

 来る2017年シーズン。開幕5連勝と好スタートを切るも、4月に5連敗するなど波に乗れない。新たに獲得した陽、山口、森福のFA3選手が怪我・不振で活躍できないという大誤算もあった。

 そして5月25日、甲子園での阪神戦に敗戦。ここから、悪夢の連敗が始まることになる。

 5月26日からの東京ドームでの広島3連戦。巨人は投打共に振るわず4連敗。この4試合はいずれも得点2点以下と、打線の援護のなさも響いた。これで広島相手には7連敗となった。このシーズン以降数年間、巨人は広島との相性の悪さに苦しめられることになる。

 ペナントレースは交流戦に突入。最初のカードは宮城での楽天戦。連敗阻止が期待されたエースの菅野だったが、初回からコントロールが定まらず、5回8失点の大乱調。エースの登板日にまさかの13失点という大敗を喫する。このエース乱調のショックは大きく、巨人は嫌な流れを引きずってしまう。2戦目は先発塩見を打ちあぐね、完封リレーを喫する。3戦目は先発池田が5回無失点の好投も、6回に田原・森福がリリーフに失敗。この回逆転を許し、そのまま敗戦。楽天3連戦3連敗となり、これで7連敗となった。

 なお、6連敗を喫した翌日の6月1日のスポーツ報知の一面に「クルーズ使え!!」と書かれた見出しが踊った。その内容は、その日まで13試合連続HRなしという貧打に苦しんでいるチームの打開策として、守護神のカミネロを抹消し、クルーズを昇格させて起用すべき、というものだった。

 結果的にはこの見出しの通りの采配をせざるを得なくなり、6月2日、巨人は守護神カミネロを抹消、クルーズを昇格させた。ちなみに由伸監督当人はこの抹消はやりたくなかった、と後にYouTubeチャンネルで語っている。参考YouTube↓

 しかし、この抹消はすぐに裏目に出る。6月2日、東京ドームでのオリックス戦、先発マイコラスは6回1失点の好投。打線も村田の2ランなどで7回に4点を奪い、3点リードで9回の攻防へ。しかし、8回から続投していたマシソンが3点を失い、同点にされてしまう。その後、延長11回表に勝ち越しを許し、8連敗となった。

 絶好の連敗阻止タイミングを逃した巨人。3日は田口が初回炎上。4日は山岡の前に1点止まりに抑えられ、これで2006年以来、11年ぶりとなる10連敗となった。

 続いて西武ドームでのライオンズ戦。6日の試合では、エース菅野に連敗ストップの期待がかけられた。4回表まで3点リードも、菅野がリードを守り切れない。6回5失点で同点にされてしまう。さらに7回裏、リリーフ陣が炎上、打線の5点の援護を投手陣が守り切れなかった。

 翌7日の西武との第二戦、この日は打線が再三のチャンスで打てずに完封負け、この日の敗戦で、1975年に記録した球団記録の11連敗を上回る12連敗となった。

 さらに翌日の西武戦第三戦。この日は先発池田が3回7失点の大炎上。リリーフ陣も悉く失点し、13連敗の日に今季最多タイとなる13失点となった。

13連敗中のチーム成績

 13連敗中のチーム成績をおさらいしておこう。連敗中のチーム打率は.221、本塁打はわずか4本。対して被打率は.324、被本塁打は21本。1試合平均得点2.2点に対し、失点は6.5点。この数字からも分かる通り、貧打と極端な本塁打不足、さらに投手陣の崩壊が重なったことが大きな要因といえる。

 個人成績に目をやると、阿部・マギーの二人が連敗中HRが出なかったこと。また、長野・橋本・立岡ら外野陣の不振で上位打線を固定出来なかったことも得点力不足に影響した。

 また、守護神カミネロの代わりに昇格させたクルーズも大不振で、結局目論見が外れることになった。この二塁手・外野手の全体的な不振は、巨人の打線の得点力不足に大きく災いした。

 投手陣では、巨人はシーズン当初から先発陣の駒不足に悩まされており、菅野・田口・マイコラス以外の先発が安定せず、この連敗中もそれが顕著となった。

 さらに、リリーフ陣もマシソン・カミネロの両外国人以外は不安定で、連敗中しばしば炎上し、大量失点するイニングを作ってしまった。これも連敗が続く大きな要因となった。

 菅野智之の二度の乱調も連敗継続の大きな要因となった。5月の成績は5試合に先発し37回を投げ、3勝2敗、防御率2.68で月間MVPを獲得するなど好投していた。それだけに、2度の乱調によるチーム全体に与えた動揺は少なくない。由伸監督も、打線の不振よりもこのエース菅野の乱調を連敗の大きな要因として認識していたと語っている。

 また、この連敗は、先発陣の駒不足、外野手の層の薄さ、リリーフ陣の不振・駒不足といった前年から指摘されていた巨人の問題点が噴出して発生した。本来それぞれの問題点の穴埋めとなるはずだった、FA3選手の不振がもろに影響する形となった。

キャプテン坂本勇人の苦悩

 この連敗中、大きなプレッシャーを感じていたのがキャプテン、坂本勇人だった。選手ミーティングでは前向きな言葉で選手を鼓舞し、ひと度、グラウンドに立てばプレーで、背中でチームを引っ張るために力を振り絞った。しかし中々一勝が遠く、眠れない夜が15日間も続いたという。夜中に汗をぐっしょりかいて目が醒める。水を飲み、それでも落ち着かずに睡眠薬を飲んでようやく浅い眠りを手にする。連敗中はそんな日が続いたそうだ。坂本は2019年のインタビューで、当時のことを振り返り、こう語っている。

 「この雰囲気の中でどうやって勝って、みんなで笑えるのかって常に考えていた。1勝することの難しさ。それを実感しながら毎日を過ごしていました」

引用元:https://number.bunshun.jp/articles/-/841205 

<WBSCプレミア12プレビュー>坂本勇人「5年間の成長の軌跡」

2017年シーズン結果とオフシーズンまさかの決断

 13連敗の翌日、マイコラスの8回1失点の好投もあり、連敗はストップ。しかし、この連敗により巨人は優勝戦線を離脱し、順位も3位から5位に転落した。後半戦、上位打線と二塁手の弱点を「2番マギー」という奇策により解決。この采配もあり、巨人は7月以降すべて月間勝ち越し、DeNAと激しいCS争いを演じる。しかし、わずか2ゲーム届かず、4位でシーズン終了。巨人は2006年以来11年ぶりのBクラスに転落。CS導入以後、初めて出場権を逃した。

 カード別の対戦成績では優勝した広島相手に7勝18敗と大きく負け越し、苦手意識がついてしまった。他の4球団には勝ち越していたものの、広島との相性の悪さと、交流戦での連敗が影響した。投手陣は、先発は菅野・田口・マイコラスの3人で27もの貯金を作ったが、内海・大竹・宮国・山口・吉川光らが不振で、4番手以降の先発を固定できなかった。

 リリーフ陣はマシソン・マイコラスの二人以外は不振で、リーグワーストの57ホールドとなった。前年最多セーブの澤村は故障で登板ゼロに終わり、ここに森福・西村・山口鉄らの不調が重なり、勝ちパターンを形成できなかった。

 打線は新加入のマギーが3割、リーグ最多の48二塁打と気を吐いたが、長野・阿部・村田・陽といった主力は低調な成績に終わった。また、球団史上ワーストの129併殺打を記録、ちぐはぐな攻撃と鈍足のベテラン選手の増加が目立つ結果となった。

 また、期待して起用された中井・立岡・石川・橋本・重信ら若手・中堅選手が軒並み低調な成績に終わった。若手が台頭せず、ベテラン選手ばかりが目立つという、閉塞的な雰囲気がチームに漂い始めた。

 こうしたムードを打開すべく、巨人フロントは2017年オフに大ナタを振るった。まず、118試合に出場し、14HRを記録した37歳の村田修一を、世代交代の名目で自由契約とした。この突然の村田放出は、球団内外に波紋を広げた。この他多くの選手に戦力外通告を行い、片岡・相川・松本・藤村といった選手たちが現役を引退することになった。

 

由伸監督、最後のシーズンとその遺産

2018年、由伸監督最後のシーズン

 2018シーズンが開幕。だがこのシーズンは春先早々に広島が独走状態に入り、巨人はほとんど優勝争いに絡めず。今期も優勝の広島相手に7勝17敗と大きく負け越した。

 球団オーナーは由伸監督の若手育成の手腕を評価し、2019年も続投を要請する意向をしていた。しかし、由伸監督は「チームの勝敗は監督が背負うものと責任を取って辞めます。」と自ら辞任を申し入れた。10月3日、由伸監督は退任を表明した。

 その後、巨人はDeNAと激しい争いの末、なんとかAクラスの3位に滑り込んだ。クライマックスシリーズでは菅野がノーヒットノーランを達成するなど、2位ヤクルトを破ってセカンドステージに進出。しかし、セカンドシリーズでは広島に3連敗。由伸監督は21年間着続けたユニフォームを脱ぐことになった。

 そして同時に、杉内・山口・西村・寺内といった選手たちが引退。また、丸佳浩・炭谷銀仁朗のFA獲得に伴い、内海・長野が人的補償として退団することになった。こうして、2012年からの3連覇を支えてきた選手が多くチームを去ることになった。

由伸監督時代の遺産

 由伸監督時代の3年間は、就任前の賭博問題に引き続き、選手による相次ぐ不祥事が発生。世代交代の難題に取り組みつつ、優勝を目指すという難題に由伸監督は苦しんだ。

 結果的に巨人を優勝に導くことはできなかった由伸監督だったが、代わりに多くの若手選手を台頭させた。その筆頭は2014年ドラフト1位の岡本和真。2018年シーズン、由伸監督は岡本を全試合に出場させ、岡本はその期待に応え、3割30本100打点をクリアした。また、吉川尚輝、大城卓三、C.C.メルセデス、中川皓太ら、後の巨人を支える多くの若手選手を一軍に台頭させた。

 

おまけ記事として以下の内容をご用意しております。

そちらも併せてご覧ください。

「もっと知りたい!由伸巨人13連敗とその苦悩」

1.由伸監督就任の裏側と本音

2.由伸巨人の敗因~育成の巨人の曲がり角

リンクはコチラから→もっと知りたい!巨人13連敗と由伸監督の苦悩

 

参考WEBサイト

・フリー百科事典Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki

 ー読売ジャイアンツ

 -高橋由伸

 

・SECOMホームページ

おとなの安心倶楽部

月間 長嶋茂雄 第82回「13連敗中の成績が語りかける巨人の課題とは」

https://www.secom.co.jp/otona/nagashima/1707.html

 

・サンケイスポーツ 2015年10月21日

「『高橋君しかいない』長嶋氏、巨人・由伸に全面支援を約束」

https://www.sanspo.com/article/20151021-EPXZBXLPX5L2PFKWHXV6CHKQEE/2/

 

・上原浩治 公式YouTubeチャンネル 2020年12月1日

「上原は戦力だった?就任要請はどんな?高橋由伸が監督時代の舞台裏をぶっちゃけてくれました」

https://www.youtube.com/watch?v=VdO-W52RD7w

 

・JCAST ニュース 2019年4月28日

「メモ魔・高橋由伸は、監督時代に何を書いていた? 「やっぱり…」「ストレスか」正体に反響」

https://www.j-cast.com/2019/04/28356523.html?p=all

 

・JIJI.com 

「高橋由伸、巨人監督就任会見詳報」

https://www.jiji.com/sp/v4?id=201510yoshinobug0005

 

・NO.5 データ好きのプロ野球ブログ

「【巨人】球団ワースト記録となる13連敗の軌跡」

https://no-05.com/giants-lose13/

 

・NumberWeb 鷲田康

「<WBSCプレミア12プレビュー> 坂本勇人『5年間の成長の軌跡』」

https://number.bunshun.jp/articles/-/841205

 

DAZN

Ads Blocker Image Powered by Code Help Pro

広告ブロックを検出しました

ブラウザの拡張機能を使用して広告をブロックしていることが検出されました。

この表示を消して記事を閲覧するには、ブラウザの広告ブロッカー等の機能を無効にするか、yakyufan-asobiba.comドメインをホワイトリストに追加し、「更新」をクリックして下さい。

 

Powered By
Best Wordpress Adblock Detecting Plugin | CHP Adblock