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もっと知りたい! 北京五輪野球日本代表

 

本記事は、YouTube動画「GG佐藤の落球だけじゃない!その敗因を徹底分析! 北京五輪野球日本代表 【ゆっくり解説】」のおまけ記事です。

まだ動画をご覧になっていない方は先に動画の方をご視聴いただくことをオススメいたします。

 

1.五輪野球大会における予選リーグと決勝トーナメントの因果関係

北京五輪では、日本代表は予選リーグで上位3チームに全敗を喫した。結果論ではあるが、予選リーグでの勝敗が決勝トーナメントに影響しているケースが多い。

こちらのグラフに、日本代表が予選リーグで敗戦⇒決勝トーナメント・3位決定戦でも同じ対戦相手に敗戦したケースをリストアップした。すると、北京大会含め6ケースも存在することが分かった。逆に予選リーグ敗戦⇒決勝トーナメント・3位決定戦で勝利するパターンは1度も無かった。

2004年アテネ五輪では、アマチュアチームでも敗れたことのないオーストラリア相手に、予選は打ち込まれ4-9で敗戦、準決勝では0-1で惜敗。金メダルへの道を閉ざされた。

このように、オリンピックでは、予選リーグで敗戦している相手に決勝トーナメントでも敗戦する可能性が高い。理屈で考えれば、予選リーグでは最悪でも決勝トーナメントに進出できる勝敗になれば良い。しかし、現実には予選リーグで敗戦した相手には苦手意識が出てしまうのか、決勝トーナメントで予選の結果を覆すケースは見られていない。金メダルを目指すのであれば、予選リーグでも妥協せずに全勝を目指すべきだろう。

 

北京五輪の日本代表は、予選で敗北した韓国、アメリカ相手に決勝トーナメントでも敗戦。メダル無しの4位に終わった。

一方の韓国は北京五輪予選でカナダ戦の1-0、中国戦の1-0、台湾戦の9-8など、危うい試合がありつつもリーグ7戦全勝。その勢いのまま決勝トーナメントでも日本、キューバを倒し、金メダルを獲得した。

 

東京五輪では日韓で北京五輪と対照的な結果となった。東京五輪で日本代表は、オープニングラウンドでは、対ドミニカ戦9回4-3のサヨナラ勝ち。ノックアウトステージ2回戦では対米国戦でのタイブレークで7-6のサヨナラ勝ち。このように危うい試合がありながら、日本代表はオープニングラウンド・ノックアウトステージ共に無敗で勝ち進んだ。結果、決勝アメリカ戦でも優勢に試合を進め、2-0でアメリカ戦に勝利。日本代表悲願だった金メダルを獲得した。

一方、東京五輪での韓国代表はオープニングラウンドでアメリカに2-4で敗戦。ノックアウトステージでは準決勝で日本に2-5で敗れる。さらにオープニングラウンドで負けたアメリカにまたしても2-7で敗戦。金メダルの夢を絶たれただけでなく、3位決定戦ではドミニカ共和国相手に6-10の敗戦を喫し、まさかのメダルなしの4位という結果になった。韓国代表は近年国際野球大会での低調な成績が続いており、国内メディアから今回の結果に対しても厳しい声が上がっているようだ。

 

2.GG佐藤の落球の要因

GG佐藤は準決勝の韓国戦で2つのエラーを犯し、3位決定戦アメリカ戦でもエラー。合わせて3つのエラーを犯し、北京五輪の戦犯としてマスコミやファンから叩かれた。

 

佐藤は急な選出であったことは動画内でも述べた。候補の外野手(和田・サブロー・高橋由伸ら)に故障が相次いだことと、2008シーズン前半戦の好成績を残したことが評価され、急遽6月の追加候補選手として入り、そのまま代表入りした。

また、シーズン中のレフトでの起用が無く、合宿や壮行試合では不慣れなライト守備に苦戦。さらに合宿初日に肩を痛め、送球への不安を抱えることになった。そして、その不安は準決勝の韓国戦で顕在化する。

イ・ヨンギュのレフト戦への打球を、送球への不安から焦って打球処理を行った結果、ボールをトンネルしてしまう。このエラーをしたことでネガティブな考えに至った佐藤は、フライを獲る自信まで失ってしまう。この弱気なメンタルが、8回裏の落球に繋がってしまったと後に佐藤本人が語っている。

韓国戦で敗戦し、試合後項垂れる佐藤。すっかり気落ちしてしまい、自分の出番はもうないと思っていた。それだけに、3位決定戦のアメリカ戦でのスタメンには驚きと共に動揺した。星野監督としては、佐藤の今後の野球人生を踏まえた温情的な起用だったようだ。しかし、この起用に対し、佐藤本人は気負い過ぎてしまう。

前日弱気になっていたことがエラーの原因だと思った佐藤は、今日は守備で積極的に行こうと決めた。そして3回裏、先頭のバーデンの打球はショート中島の後方へ。中島は捕球体制に入るが、佐藤が声を上げて前進してくる。佐藤は逆シングルで捕球しようとしたが、ボールをグラブの先にあてて落球してしまう。今度は強気にいこうという気持ちが空回りし、積極性が裏目になってしまった、と佐藤は後に振り返っている。

GG佐藤については、こちらの記事に詳しく載っているので、合わせてご参照いただきたい。

・「銅メダルも逃した」北京五輪で大エラーしたG.G.佐藤に星野仙一がかけた言葉

プレジデントオンライン

https://president.jp/articles/-/38276?page=2

 

また、GG佐藤の拙守ばかりに注目されがちだが、球場のコンディション状態にも問題があったようである。実は金メダルの韓国も、GG佐藤以前に外野でエラーを連発していたことはあまり知られていない。準決勝日韓戦の4日前、2008年8月18日の台湾戦。韓国にとって初の晴天でのデーゲームとなった。韓国は2回までに8点を挙げ、8-0と楽勝ムードが漂うが、ここから守備が乱れる。

2回2死一、二塁でライトのイ・ヨンジンが芝生を転がってきた打球を後ろに逸らすタイムリーエラー。5回裏1死一二塁ではレフトのキム・ヒョンスがゴロを後ろに逸らした。

北京で使用された「仮設球場」のグラウンドは、芝生が根付いておらず、バウンドが不規則で、打球の勢いが急に止まることもあったようだ。

さらに、7回裏のセンターのイ・ジョンウクはフェンス際の飛球を負うが、太陽光に目がくらみ、ボールを取り損なう。五棵松第一球場はホームベースが南西側に位置しており、野手にとって日中の太陽光が非常にまぶしい球場だったようだ。韓国はこの日差しのまぶしい五棵松第一球場で台湾、キューバ、オランダとデーゲームを戦い、いずれも勝利した。そして準決勝の日本戦を迎えるが、この試合も第一球場の朝10時半開始のデーゲームだった。

一方の日本は予選リーグ7戦中、デーゲームは18日のカナダ戦の1試合のみ。しかも行われたのは第一球場とは方位が異なる第二球場だった。日本にとって韓国との準決勝が、第一球場での最初のデーゲームだった。韓国プロ野球の取材を行っている室井氏は、日韓の日程が逆だったら、GG佐藤のエラーは訪れなかったかもしれない、と指摘している。

室井氏による記事はこちら⇩

https://news.yahoo.co.jp/byline/muroimasaya/20210626-00244234

今回はGG佐藤の落球について、メンタル的な面と、球場のコンディション状態、日韓の日程の違いによる不利面を上げた。筆者個人としては、球場のコンディションや日程の不運などの点はあったものの、やはり佐藤本人のメンタルの問題が大きかったように思う。GG佐藤本人と首脳陣が守備面での不安等をしっかりとコミュニケーションがとれていれば、他選手にレフトを守らせるなど対応が取れたかもしれない。3位決定戦でのアメリカ戦でのスタメン起用にしても、その後の佐藤のキャリアを考えるという星野監督の思慮は立派ではあるが、銅メダル獲得という目標に見合った戦術かといえば疑問の残る采配だ。

今回の佐藤の落球の件については、短期決戦で自信を失った選手をどうサポートするか、その難しさを感じた一件だった。

 

3.アメリカ戦での星野監督の不可解な采配

このアメリカ戦では、星野監督と選手・コーチとの意思疎通不足な点が佐藤以外にも見られた。

以下は川上憲伸のYouTubeでの上原浩治との対談から抜粋している。川上は北京予選で3試合を投げ、準決勝韓国戦でも先発杉内の後を継ぎ、1回と1/3を無失点と投げ切った。3位決定戦のアメリカ戦では、当初大野コーチから「お疲れ様」と言われており、川上本人も応援に専念する予定であった。

ところが試合中、急遽星野監督にブルペン行きを指示され、急いでブルペンへ。その後3回途中から2番手としてマウンドに上ることになった。突然の登板ながら川上はよく抑えたが、3イニングス目の5回に決勝点を奪われ負け投手となった。結局星野監督は川上を5回終了まで交代させなかった。事前に川上や大野コーチと意思疎通が取れていなかった点や、川上を3イニング目まで引っ張った継投には疑問が残る。

この川上の件や佐藤らの起用等、三位決定戦のアメリカ戦では、星野監督の意思疎通不足や不可解な起用が目立った。準決勝韓国戦の敗戦が、星野監督以下首脳陣に心理的なダメージをもたらし、平常心で采配が行えていなかったのかもしれない。

 

川上憲伸の証言はこちら 8:33~の発言を参照⤵︎ ︎

【侍ジャパン裏歴史】北京五輪の戦犯は誰だ?2人のエースが真相激白!

 

 

4.制作後記

プロローグなどでも触れていたが、本当は東京五輪の前に公開する予定であった。しかし、五輪中止の可能性があったことで制作の順番が後ろ倒しになった。制作の遅れも相まって年明け2月末の公開という中途半端なタイミングになってしまった。

前回の阪神暗黒時代もそうだったが、今回の北京五輪についても原稿制作に苦戦した。今回はそもそも資料が少なく、情報収集に苦戦を強いられた。加えて、敗因についても3つに絞るのが難しく、内容にも自信が持てずに筆が中々進まなかった。文字数も当初の想定をオーバーし、本来12分前後の動画時間にしたかったが、結果的には17分を超える動画時間の内容になってしまった。短期決戦の敗因はペナントレースほど明確になりにくく、時の運やメンタル、一時の好不調などにも左右されやすく、考察をまとめにくいことが実感させられた。

内容的には初の国際大会について取り上げる回となった。今後の評判次第では、WBC第一回・第二回など、国際大会についても動画で取り上げて行きたいと思っている。ご期待の方はYouTube・ニコニコ・ブログのコメント欄に一言いただきたい。

 

2022年2月26日 泉シロー

 

 

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